反応染料Reactive Orange 7〔2(m-aminophenylsulfonyl)ethanol sulfate ester→N-acetyl gamma acid, M.W.595〕の粉末に反復吸入暴露されることによつて生じた気管支喘息の1例を報告する.患者は48才男性で, 10数年前より染色工場でR.O.7の粉末を取り扱つていたが, 特に異常な症状を認めなかつた.ところが感冒罹患時, R.O.7の粉末を取り扱う作業を開始して約20分後より, はじめて咳嗽, 喘鳴, 呼吸困難の症状が出現した.その後は本染料を取り扱うごとに, 同様の喘息症状が出現するようになつた.R.O.7を用いた皮内反応, PK反応で即時型陽性, 吸入誘発試験でも即時型陽性反応を示した.R.O.7で染色したpaper discを用いてradioallergosorbent testを行い, 患者血清中に染料特異的IgE抗体を検出しえた.
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