細胞性免疫不全がネフローゼ症候群(ネ群)の病態生理に関与しているといわれている.今回, leukocyte migration inhibition test (LMIT, agarose 平板法, 直接法), macrophage migration inhibition test(MMIT, 毛細管法, 間接法) を用いて, ネ群患児血清が健康成人から採取した PPD 感作リンパ球による leukocyte migration inhibitory factor (LMIF) の産生や, macrophage migration inhibitory factor (MMIF) の産生に, いかなる影響を及ぼすかを検討した.1.ネ群急性期血清は, LMIT において PPD 刺激による白血球遊走阻止を抑制するが, 寛解期血清は抑制しない.2.MMIT においても, ネ群急性期血清が PPD 添加直前に投与された場合にマクロファージ遊走阻止を抑制する.しかし, すでに産生された MMIF がマクロファージに作用する段階で添加されても, その抑制作用はみられない.3.ネ群血清は, リンパ球に対して toxic ではない.4.PPD 非刺激時において, ネ群急性期血清は, 白血球やマクロファージのrandom mobility に直接には影響を及ぼさないし, また, それ自身には MIF 産生誘導作用はない.以上から, ネ群急性期血清には MIF 産生を抑制する作用がある.
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