dopamine-β-hydroxylase(DBH)は副腎髄質および交感神経終末からexocytosisによりカテコラミン(CA)とともに放出されると考えられている.インスリン低血糖に対してCA放出がみられるが, その際血漿DBH活性がどのように変化するかを健常人, 気管支喘息患者(喘息)について検討した.喘息8例(男5例, 女3例, 14-49才), 健常男子10例(17-46才)にregular insulin 0.1単位/kgを静注, 前, 30, 60, 90, 120分に採血, 血糖, 血漿DBH活性を測定し, 注射前後の各2時間尿のCAを測定した.血糖, 尿中CAの変動には両群で差はなく, 両群でepinephrineの著明な増加が認められた.血漿DBH活性は健常群で有意の変化はみられなかったが, 喘息群では前値に対し, 60分(76.0±35.6%, p<0.05), 90分(78.9±12.6%, p<0.01)で有意の低下が認められた.以上の結果, インスリン低血糖時, 両群とも交感神経機能亢進に対応したDBH活性の増加がみられず, 血漿DBH活性の測定は交感神経-副腎髄質系の機能の指標としては必ずしも適当ではないこと, さらに喘息では, 合成, 放出, 分解などを含め, DBHの代謝が健常人と異なる可能性が示唆された.
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