重症筋無力症が自己免疫によりおこることを示唆する成績が, Nastuckらによつて報告されて以来, 本症に対して種々の免疫学的アプローチがおこなわれている.しかしながら, 小児期重症筋無力症では成人のそれにくらべ免疫学的異常を示唆する所見に乏しい傾向がみられる.そこで小児期の本症の特徴を明らかにするために, 免疫学的な面からの検討を行つた.対象は小児期に発症した32症例である.ステロイドは非使用例か, また非使用時に検索した.サイロイドテスト31例中3例陽性, マイクロゾームテスト4/31が陽性であり, 甲状腺機能亢進症1例と甲状腺機能亢進治療後の甲状腺機能低下症1例が存在した.PAテスト1/32陽性であり, LEテスト, Coombsテスト, 抗核抗体, 抗横紋筋抗体それぞれ全て陰性であつた.CH50値, skin testはともに正常域にあり, リンパ球subpopulationも正常であつた.PHA芽球化反応は有意差を示さず, 血清免疫グロブリン値ではIgGはほぼ正常域にあつたがIgA欠損患児が1名存在し, IgMでは全身型が眼球型より高い値を示したものが多く, 全身型の50%は200mg/dl以上の値を示した.
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