気管支喘息の基本的病態である気道過敏性の成因を検討するため, β-stimulant投与前後で, 気管支喘息症例の血漿およびコンニャク舞粉吸入感作モルモットの気管ならびに血漿のcAMP, cGMPを測定し, 次の結果を得た.1.症例では, orciprenaline皮下注射後の血漿cAMP上昇率は, 健常群(N=12)に比し, 喘息患者(N=35)では, 寛解群, 拡張剤群, ステロイド群の順に低かった.2.無処置モルモットでは, orciprenaline腹腔内投与後の血漿および気管cAMPは有意の上昇をみたが, 感作群の上昇は有意ではなかった.3.喘息患者の安静時血漿cGMPは, 健常群に比し有為の高値を示したが, ステロイド群では, 同レベルであった.4.Orciprenaline投与前後でcGMPは症例の血漿でもモルモットの血漿・気管でも変動を認めなかった.以上より, 喘息症例の血漿レベルのβ-adrenergic blockadeの証明のみならず, さらに, モルモットの気道と血漿において吸入感作がβ-adrenergic blockadeをもたらすことが明らかにされた.
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