コルヒチンや副腎皮質ステロイド剤内服中のcomplete typeおよびimcomplete typeのBehcet病患者17例をactive stage, inactive stageに分類し, 患者の末梢血好中球にzymosanを加えて刺激し, in vitroでの活性酸素(O^-_2, H_2O_2, OH・, ^1O_2)(OIと略記)およびライソゾーム酵素(lysozyme, α-mannosidase, β-glucuronidase)の産生分泌能をそれぞれ測定し, 疾患対照群としてコルヒチンおよびステロイド内服中の通風患者, 皮膚疾患および気管支喘息患者を, 健康対照群として正常人を選び, 測定結果を比較した.ついで, 出産直後の胎児臍帯静脈内皮細胞を培養した後, ^<51>Crを標識し, active stageのcomplete typeの患者好中球とincubateし, 内皮細胞に対する障害性を検索した.結果は, Behcet病患者では, active stageのcomplete typeの症例はコルヒチン・ステロイド内服中にかかわらず, 健康人よりも著明にOIの増加がみられ, その他の患者群は, 健康対照群よりやや高値を示すものの有意差はなく, コルヒチン・ステロイド内服中の疾患対照群より有意な増加を示した.中でもOH・の上昇が顕著にみられた.ライソゾーム酵素に関しても, OIと同様の傾向が証明されたが, 患者と対照群との差がOIほど著明にはみられなかった.内皮細胞障害性に関しては, いずれも対照群好中球より有意差をもって^<51>Cr releaseの増加をもたらし, かつ, scavengerのxanthineの使用により^<51>Cr releaseの減少が確認された.以上より, Behcet病患者好中球は, 生体内で被刺激性が亢進しており, immune complexその他の抗原刺激に際し, OIを大量に産出し, 組識障害の原因となっていることが示唆される.
抄録全体を表示