川崎病患児血清中の自己抗体を検索した.抗平滑筋抗体anti smooth muscle antibody(SMA)は25例中9例(36.0%)に陽性を示したが, 抗心筋抗体28例中1例(3.6%), 抗血小板抗体20例中0, 抗マイクロゾーム抗体6例中0, 抗ミトコンドリア抗体6例中0であった.SMA陽性者は9例中5例が1カ月から10カ月で陰性化した.SMA陽性群は陰性群に比し冠動脈瘤形成率が有意に高く(22.0% vs 6.3% p<0.05), 入院時GOT, GPT値上昇(88.9% vs 37.5%), 入院後GOT, GPT上昇(66.7% vs 18.8%)も高い傾向にあった.SMAは慢性活動性肝炎などの肝障害時にとくにその出現率の高いことが知られており, 一方また, 浅井・草川scoreの発熱期間, 最高赤沈値, ESR, CRP正常化日数においてもSMA陽性群と陰性群の間で有意差を認めたので(p<0.05), これらの結果から川崎病の一部にみられる抗平滑筋抗体は, この疾患の急性期にみられる肝機能障害や心血管病変の出現に関連しているものと考えられた.
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