川崎病患者21例の末梢リンパ球のT細胞サブセットを, OKTシリーズのモノクローナル抗体を用いて検討した.OKT3^+陽性細胞(T3^+)は末梢成熟T細胞全体をあらわし, OKT4^+陽性細胞(T4^+)には helper-inducer T 細胞が分布し, OKT8^+陽性細胞(T8^+)には suppressor-cytotoxic T 細胞が分布していると考えられている.結果は, 1) 急性期(5-10病日)には, T3^+が52±4%, T4^+が40±3%, T8^+が12±3%といずれも低下していた.2) 回復期(26-37病日)には, T3^+が60±5%, T4^+が43±4%, T8^+が18±3%と有意の上昇を認めた.3) 絶対数でみると, T3^+, T8^+は急性期に有意の減少を示したが, T4^+は有意の変動を示さなかった.4) T4^+:T8^+比は, 急性期には3.4±0.9, 回復期には2.4±0.6と有意の変動を示した.以上のように川崎病急性期においては, T8^+の減少が著明であり, T4^+:T8^+比の高値なことから, 免疫調節機構のアンバランスが示唆された.
抄録全体を表示