原発性免疫不全症の中でも発癌頻度の高いataxia-telangiectasia(AT)患児6例について, 発癌防御に重要な役割を果たすと考えられる3種の細胞障害活性を検討した.CML活性は, X線照射PBLと混合培養した後, 刺激PBLのPHA-blastをtarget cellとして, ADCC活性はtarget cellにEL-4株細胞, 抗体に抗H-2^b血清を用いて, またNK活性はtarget cellをK562株細胞として, それぞれ^<51>Cr release assayにより測定した.その結果, OKT3^+細胞の減少, PHAに対する低反応などT細胞不全を示すAT症で, CML活性は著明に障害されていたが, LGLやLeu7陽性細胞の割合, 及びNK, ADCC活性は同年齢対照と有意差がなく, 種々の癌細胞由来培養細胞株に対する, NK及び活性化NK細胞の特異性も, 調べた範囲では対照と差がみられなかった.AT症においても, MLCにより活性化すると, NK細胞抵抗性のRaji及びHUT-78株細胞に対して細胞障害活性を発現しうることから, 発癌防御への臨床応用が期待された.
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