モルモットを用いて, 実験的に過敏性肺臓炎を作製し, 免疫組織学的な検討を加えた.感作抗原には, bacterial α amylase (BαA)を利用し, 感作は5回筋肉内注射を行い, 誘発のための最終暴露を経気道的に2週間連続吸入を行った.経時的組織変化は, 4つの時期にわけることができた.すなわち(1)急性期(気管支肺炎様期):細気管支を中心とする急性炎症.(2)胞隔炎形成期:肺胞壁にリンパ球, 形質細胞の浸潤を伴う胞隔炎像が現れる.(3)肉芽腫形成期:胞隔炎と共に肉芽腫様変化がみられる.肉芽腫は, リンパ球, 組織球, 形質細胞よりなる.(4)肉芽腫吸収期:肉芽腫様変化がみられなくなる.組織学的に得られた結果とPAP法を用いて, Igの沈着分布との比較を行った.気管支肺炎様期と胞隔炎形成期では, 胞隔炎を示す肺胞壁に沿ってIgGの沈着が多くみられたが, 肉芽腫様変化を示す部位には沈着がみられなかった.これは, 胞隔炎形成にはimmune complexの関与が考えられたが, 肉芽腫形成には体液性免疫だけでは考えにくく, 細胞性免疫やその他の機序の関与をさらに検索する必要がある.
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