粉じん作業者やじん肺の臨床例のなかからいわゆる adjuvant 病の病像を呈する11例について臨床免疫学的に検討を加えた.病像として発熱, 全身倦怠感, 瘻痩, 貧血, 関節痛, 筋肉痛, 胸膜炎, 心膜炎, 腎障害, 肝障害など多彩であり SLE に類似する.しかし, 全例とも LE 細胞陰性で抗 DNA 抗体や ANF, RF 陽性例は少ない.またCH_<50>は増加例が多く, 低下例が少ないなど SLE とは異なる.赤沈亢進, CRP 強陽性, α_2-glob.またはγ-glob.増加, IgA または IgG 増加など液性免疫能の亢進が共通の所見である.OKT-4細胞の減少と OKT-8細胞の増加により OKT-4/8が低下する例が多く, OKT-4陽性の suppressor inducer 細胞の減少による液性免疫能の亢進が推定された.しかし OKT-4/8の上昇例や正常例などもあり, 免疫異常の細胞レベルでの成り立ちは均一ではない.ともあれ, 上記の変化は粉じんの adjuvant 効果のみならず, 免疫担当細胞レベルでの障害が重要であると考えられた.
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