結膜花粉症15例, 慢性アレルギー性結膜炎20例, 春季カタル30例, および, 健常者12例の涙液ヒスタミン量を自動分析機による蛍光法で測定した.涙液ヒスタミン量は, 健常者では2.2±1.6ng/ml, 結膜花粉症4.5±2.3ng/ml, 慢性アレルギー性結膜炎4.3±3.9ng/ml, 春季カタル18.8±16.6ng/mlで, 健常者との間に結膜花粉症ではp<0.01, 慢性アレルギー性結膜炎ではp<0.05, 春季カタルではp<0.001で有意差を認めた.春季カタルの眼瞼型の涙液ヒスタミン量は21.0±16.7ng/ml, 眼球型では4.2±3.2ng/mlで, 眼瞼型の涙液ヒスタミン量は眼球型に比べてp<0.001で, 有意な高値を示した.春季カタルの重症度による涙液ヒスタミン量は, 軽症では4.2±2.2ng/ml, 中等症18.4±15.2ng/ml, 重症34.5±16.1ng/mlで, 中等症及び重症の涙液ヒスタミン量は軽症に比べてp<0.01で有意差を認めた.角膜病変を伴った春季カタルの涙液ヒスタミン量は25.7±19.4ng/ml, 角膜病変を伴わない春季カタルでは11.9±9.7ng/mlで, 両者の間にはp<0.05で有意差を認めた.角膜病変を伴った春季カタルの涙液ヒスタミン量が有意な高値を呈したことは, 涙液中の遊離ヒスタミン量と角膜病変との間に密接な関連性があると推定される.
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