能動および受動感作ラットの鼻腔内に抗原(DNP-As)を灌流し, 鼻粘膜の血管透過性および分泌の亢進を色素漏出を指標として検討した.いずれの感作ラットもbovine serum albumin溶液や生理食塩水の灌流では色素漏出は軽度であった.能動感作ラットでは抗原灌流により著明な色素漏出の亢進が認められ, 抗原洗浄後色素漏出は軽度減少したが, 20-30分まではほぼ一定値を示した.一方, 受動感作ラットでは抗原洗浄後も色素漏出は経時的に増加し, histamineの灌流の場合と同様な傾向を示した.これらの色素漏出に対してtranilast(75-300ml/kg, p.o.)は能動感作ラットでは用量依存的な抑制作用を示し, 受動感作ラットでは300mg/kgの高用量によってのみ抑制作用を示した.また, histamine灌流による色素漏出に対しては軽度の抑制傾向を示すにすぎなかった.diphenhydramine(150mg/kg, p.o.)は受動感作およびhisutamine灌流ラットの色素漏出をほぼ完全に抑制し, 能動感作ラットの色素漏出に対して抑制傾向を示した.一方, mepyramine(100mg/kg, p.o.)は能動感作ラットにおいて著明な抑制作用を示したが, cimetidine(100mg/kg, p.o.)は抑制作用を示さなかった.以上のことから, 鼻腔内抗原灌流によるアレルギー性鼻炎の実験モデルとしては能動感作ラットよりも適しているように思われる.
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