気管支喘息におけるβ受容体系機能不全の原因を検討する為, post receptor siteに注目し, 喘息患者末梢血リンパ球の細胞膜流動性を蛍光偏光解消法にて測定した.膜流動性は喘息患者22名, 健常対照者20名の末梢血より分離したリンパ球を蛍光炭化水素である1, 6-dyphenyl-1, 3, 5-hexatrinene(DPH), 2×10^<-6>Mと37℃, 60分incubateした後, 2回洗浄し, 直ちにfluorescence spectrophotometerにて測定した.蛍光強度P(mean±SD)は喘息患者群0.341±0.031, 健常対照者群0.349±0.031, 全蛍光強度F(mean±SD)は喘息患者群2.229±1.297, 健常対照者群1.903±1.151, 細胞膜流動性の指標とした異方性比γ(mean±SD)は喘息患者群0.257±0.027, 健常対照群0.266±0.028となり両群間に有意差を認めず, 喘息の型別, 重症度, ステロイド使用の有無にも影響を受けなかった.これらの結果はreceptor site, pre-receptor siteに異常がないとするとβblockade状態はpost receptor siteでかつ, 細胞膜流動性以外の点に問題がある可能性が示唆された.
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