食物アレルギーの関与が疑われた小児アトピー性皮膚炎患者の卵白, 牛乳, 大豆抗原に対する血中特異IgE抗体をRASTにて, IgG, IgG4抗体をELISAで測定し, 以下の結果を得た.1)卵白に対するIgG抗体価はIgE RAST値に平行して上昇したが, 牛乳, 大豆では一定の関係がなかった.2)卵白, 牛乳, 大豆に対するIgG4抗体価はいずれも各々のIgE抗体価とは無関係であった.3)食物除去有効群の除去前のIgE抗体価は無効群に比べて低値を示した.そして, 食物除去有効群の除去前のIgG, IgG4抗体価は無効群に比べて有意に高値を示した.4)原因食物を3-6カ月間除去した後に臨床症状が著明に改善した患者においてIgG抗体価は有意な低下を示し, IgG4抗体価は低下傾向を示したが, IgE抗体価は不変であった.5)IgE抗体のみが陽性であった症例は対象の4.1%であり, 対象の93.9%がIgG抗体, IgG4抗体のいずれか一方, あるいは両抗体が陽性であった.以上のことから, IgG, IgG4抗体は食物アレルギー患者においてreaginic antibodyとして働く可能性が示唆された.
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