正常のモルモット計18匹に気道内にHRPを注入し, 気管支上皮内へのHRPの侵入および残留について検討した.注入後15分, 4時間, 12時間, 18時間, 24時間, 48時間, 60時間, 72時間で屠殺して, Graham-Karnovsky法に準じて電顕組織化学を行い, 内因性ペルオキシダーゼ活性は3-amino, 1, 2, 4-triazoleにてブロックした.気道内HRPは局所的に気管支上皮を超えて粘膜固有層まで侵入していた.投与後15分で杯細胞および線毛細胞内へのpinocytosisによる取り込みがしばしば認められ, 線毛細胞質に瀰慢性に侵入したHRPが散在して認められた.また稀に細胞間隙に瀰慢性にHRPが侵入していた.tight junctionが離解している所見は認められなかったが, 一部のtight junctionはleaky junctionに似ていた.60時間後には上皮内にHRPをほとんど認めることはできなかったが, 72時間後でも稀ではあるが, HRPが上皮内に残留している所見を得た.以上の検討から上皮内へのHRPの4つの侵入経路について考察した.また, 喘息発作後の気道過敏性亢進と残留HRPとの関連についても言及した.
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