interleukin-2(以下IL-2)は, 抗原その他の刺激により, T細胞上に出現するIL-2レセプターを介してT細胞の増殖を促すほか, 様々な生物活性を有することが明らかとなっている.今回我々は, インスリン依存性糖尿病(以下IDDM)患者末梢血単核球の, IL-2反応性および, Con A刺激によるIL-2レセプター発現について検討を行った.1.IDDM群は, 正常対照群と比べて, IL-2反応性, IL-2レセプター発現ともに有意な差は認められなった.2, 抗ランゲルハンス島細胞抗体陽性と陰性, コントロールの良否で比較したが, 共に有意な差は認められなかった.3.IDDM発症からの年数で比較したところ, IL-2反応性, IL-2レセプター発現とも, 発症1年未満の群で有意(p<0.001)に高値を呈した.4.IL-2反応性とIL-2レセプター発現の関係を検討したが, コントロール良好群では高い相関(r=0.888)が得られたのに対し, 不良群では低い相関しか認められなかった.近年IDDMにおいて, IL-2産生が低下しているという報告が散見される.今回の我々の検討ではIL-2反応性, IL-2レセプター発現は正常に保たれており, これらから, IL-2のIDDMに対する臨床応用についても検討する価値があると考えられた.
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