小児気管支喘息における重症度・改善度の検討は, 一定期間の臨床的観察を経て決定されている.今回私は, 初診時の病歴や各種検査データ12項目(性別, 初発年齢, アトピー性皮膚炎合併の有無, 家族歴, 皮内反応陽性抗原数, 室内塵・ダニ・真菌類・花粉類に対する反応性の有無, IgE(RIST)値, 好酸球数, IgG値, 治療開始年齢)を用いて, 数量化理論第II類判別分析を施行し, 患児の予後推定の可能性を検討した.重症度の分類は, 軽症群と中等症・重症群2群間で判別適中率82.31%, 改善度の分類は, 著改・改善群と不変・悪化群間で判別適中率78.65%と良好な結果であった.次に各項目の予後に対する影響度をみるために, 12項目相互のカイ自乗検定を施行し, 独立性のある6項目(初発年齢, アトピー性皮膚炎合併の有無, 家族歴, 皮内反応陽性抗原数, IgE(RIST)値, 好酸球数)を選び, レンジ率等にて検討すると, 第1位は好酸球数, 第2位が初発年齢となり, 好酸球数が予後判定に最も影響をおよぼす結果となった.これより, 初診時の病歴, 検査データを基にした判別分析法は, 患児の予後推定に有用であると思われた.
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