症例は58歳の男性.50歳時, アレルギー性鼻炎・気管支喘息(ステロイド依存性)発症.58歳時, 歩行時ふらつき, 発熱, 筋痛, 複視出現し, 症状発現後10日目に入院.入院時, 白血球数25800/mm^3, 好酸球数12800/mm^3, ESR32mm/h, CRP4+, RAtest陰性, IgE3682IU/ml, HBs抗原1024倍陽性.入院後喘息はほぼおさまっていたが, 入院3日目に激しい筋痛あり, 筋痛部位は移動した.5日目GOT89IU/l, LDH501IU/lと上昇.6日目下腹部痛, 手指しびれ感, 左正中神経麻痺出現.CPK856IU/lと上昇し, 心電図でV_1V_2のγ消失.7日目夜突然死.剖検で壊死性血管炎, 好酸球の組織浸潤, 血管外肉芽腫を全身諸臓器に認めた.直接死因は広範な心筋壊死及び間質の細胞浸潤による心不全と思われた.本例は病理学的にAGAの典型像を示したが, 臨床的には血管炎症状が発現してから約2週間という急速な経過で死亡した点が特徴である.本例及び同様な経過の文献例はともに好酸球増多の程度が他のAGA症例に比べ強い.このような症例では特に心病変に厳重な注意が必要である.
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