小児アレルギー患者の無作為に選んだ5カ月-22歳までの患者(平均年齢11.3歳)140例(男86, 女54)に対して, アカムシユスリカ(Tokunagayusurika akamusi, T.A, Tokunaga1938, Sasa1978)のRAST, 及び皮膚プリックテストを行った.RASTスコア2以上の陽性者は26例(18.6%)で年齢層I群(5カ月-6歳)3.2%, II群(6-12歳)7.7%, III群(12-18歳)20.0%, IV群(18-22歳)46.7%と加齢により高くなる傾向があり, ピークは20歳近辺であった.疾患別では気管支喘息22.2%, アレルギー性鼻炎14.3%, アトピー性皮膚炎5.3%, じんましん0%であった.東京都内居住者の陽性率は17.8%, 都外居住者のそれは20%であったが有意差はなかった.同患者中, 皮膚プリックテスト施行65例中陽性は15例23.1%であり, 皮膚プリックテストとRAST scoreの一致率は松村らの基準によると62.7%, Vanselowの判定基準によると78.4%であった.ユスリカのRAST陽性率18.6%は, アレルギー疾患全体ではHD69.7%, ダニ77.7%と, 第3位を示した.喘息患者のみでは, それぞれ94.4%, 95.3%に次ぐ第3位の陽性率であった.皮膚プリックテストでは, アレルギー疾患全体では, HD84.3%, ダニ80.7%, 気管支喘息患者では97.2%, 98.1%に次いで第3位の陽性アレルゲンであった.血清IgE値はユスリカRAST陽性群が有意に高く(p<0.001), ダニ特異IgE抗体価ではユスリカRAST陽性群が高い傾向を示したが有意差はなかった.
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