ウレタンフォームの原料などとして使われているtoluene-diisocyanate(TDI)は, 呼吸器に対する感作性物質としてよく知られている.先に, 著者は皮膚感作されたマウスの血清中にTDI-specific IgG抗体を検出し, 報告した.今回, TDI塗布濃度の多少による耳介腫脹率の差異と, TDI-specific IgG抗体のtiterの変動について検討した.次いで, 抗TDI-HSAウサギ血清と, 他のイソシアネート化合物との交差性を検索した.さらにTDI塗布皮膚のTDI結合部位についても免疫化学的検討を加えた.1.TDIを塗布することによって発現する接触過敏反応は, 0.1%濃度でも成立した.さらに1-5%濃度では, チャレンジ後の耳介腫脹率に有意差はみられなかった.2.TDI塗布により産生されたTDI-specific IgG抗体は, 0.1%濃度において検出できなかったが, 1-5%濃度では, 量反応的に増加する傾向がみられた.3.抗TDI-HSAウサギ血清は, p-TMI-HSA, MDI-HSAおよびHSAと交差性を示し, 特にp-TMI-HSAと強く反応した.4.TDI塗布皮膚の組織における, 抗TDI-HSAウサギ血清を用いた免疫染色性は, 表皮のみならず真皮にも観察された.5.TDI塗布皮膚の水可溶性蛋白から, immuno-affinity chromatographyを用いて, TDI-conjugated albuminを検出した.
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