マウスを用いて, 肝の部分切除とその再生の過程で活性化する免疫系組織の細胞を, 形態学的, 細胞化学的に検索した.肝再生にともなって脾臓の重量は徐々に増加し, 6日後にピークに達する.この時期, 脾臓中ではPOD陽性の骨髄球系細胞とNCAE陽性の顆粒球系細胞が4日目をピークとして一過性に増量した.一方, ANBE陽性の単球系細胞は, 肝再生の初期から増量を始め, 観察した9日目迄増量を続けた.9日目の脾臓は, 白脾髄と赤脾髄の境界は完全に消失し, 集族した幼若細胞(blast cell)の集団が観察された.一方, 正常膠着性肝非実質細胞, あるいは正常膠着性肝非実質細胞培養上清と共に脾臓細胞を培養すると, in, vivoと同様, 培養の初期には顆粒球系コロニーが出現し, その後次第に単球系コロニーへと推移していった.In vivo, in vitroにかかわらず, 肝臓の分泌する活性物質によって, 脾臓細胞の増殖と分化は厳密に統御されているものと思われる.更に, この培養上清による脾臓細胞の増殖と分化は, 抗インターフェロン(α+β)抗体を培養系に添加することによって増量した.このことは, 正常膠着性肝非実質細胞培養上清中に存在する多彩なサイトカイン(IL_1, IL_6, CSF, IFN等)が互いに作用して, サイトカインの機能的networkを形成している可能性を示唆している.
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