喘息誘発性ホヤ抗原, DIIIa(MW9,980)のホヤ喘息に対する極めて低い減感作治療効率を, グルタルアルデヒド重合によって顕著に改善した.Gi-rep(MW 106,000)と同程度の分子量の重合物(poly-DIIIa-G)は, 最も有効なEi-Mに匹敵する高い治療効率を示すと同時に, ほとんどの有効症例で, 最も有効な治療抗原Ei-Mと反応する特異IgG抗体価に顕著な増加を認めた.分子量がEi-M(MW 22,800)と同程度の重合物(poly-DIIIa-E)も, poly-DIIIa-Gより僅かに低いが, 高い治療効率を示し, 有効症例の約半数に特異IgG抗体価の増加傾向を認めた.しかし, DIIIa治療の無効症例のほとんどについて, このような特異IgGの有意な増加は認められなかった.一方, 特異IgE抗体価に関しては, 治療効果の有無にかかわらず, ほとんどの患者について有意な変動は認められなかった.特異IgG抗体価の増加と治療効果の増強との間のこのような相関は, この治療効率の改善が, 重合によるDIIIaの免疫原性の顕著な増強によるものであることを示唆する.重合DIIIaにより誘導される優勢な特異IgGは, DIIIaのような喘息誘発性抗原に対する特異IgEの結合を, 拮抗的に阻害する遮断抗体として機能するものと思われる.
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