高IgE症候群は, 黄色ブドウ球菌・カンジダに対し易感染性を示し, また慢性の湿疹様病変を伴う免疫不全症である.血清学的にはIgEの異常高値により特徴づけられ, 好酸球増多, IgD高値, 好中球遊走能不全, 遅延型過敏反応の抑制などが指摘されているが, 病因は依然不明である.高IgE症候群の臨床症状・検査所見の特徴を, 最近の免疫学的検索の成果を加えて整理しなおしてみると, (1)LI-4産生亢進:高IgE血症, FcεR(+)細胞の増多, (2)IFN-γ産生不全:局所炎症反応の欠如=冷膿瘍形成, 易感染症, 好中球遊走能不全(血清因子の存在?), 遅延型過敏反応の抑制, (3)一般的なT細胞機能異常?:慢性湿疹?, (4)遺伝的要因:家族集積性, 鼻根部の広い独特の顔貌, などにまとめることができる.すなわち, 現象的にみた病態は, IL-4/IFN-γの拮抗的調節の変調とみえる.最近マウス・ヘルパーT細胞は, その産生するサイトカインの種類によりTH1(IL-2, IFN-γ)とTH2(IL-4, IL-5)とに分別できることが報告されているが, 高IgE症候群はTH1/TH2の活性化不均衡が病因の基礎にある可能性がある.
抄録全体を表示