イネ科に属する米, 小麦, ヒエ, アワ, トウモロコシ間に共通アレルゲン性が存在するか否か検討した. Pharmacia製 米, 小麦, トウモロコシのpaper discを用いた吸収試験では, 米, 小麦, トウモロコシ各々の間で, 50%以上のIgE結合能の低下がみられ, 共通アレルゲン性が示唆された. 米, 小麦, トウモロコシ, ヒエ, アワ粉末から抽出した抗原を結合させたpaper discによるRAST assayでは, どの穀物間でも有意な正の相関が認められたがRP 16KDに関しては, 米, アワのみに有意な相関がみられた. RAST inhibitionでは米, 小麦, トウモロコシ, ヒエ, アワいずれの組み合わせでも濃度依存性に有意な抑制がみられた. 以上の結果は, これら穀物間には共通アレルゲンが存在することを示す. 米の主要アレルゲンの1つであるRP 16KDと5種類の穀物抗原との間で, 有意なRAST inhibitionが得られたことから, これら5種類の穀物間の共通アレルゲン性にRP 16KD上のアレルゲン活性部位が関与していることが示唆された.
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