非喫煙高血圧症患者41例(男21例, 女20例)に, ACE阻害薬を内服させ, 副作用としての咳喇発生症例について検討した. (1)非喫煙者における咳喇発生は, 41例中7例(男1例, 女6例)で, 咳喇発生率は17.1%であった. 咳喇とアレルギー歴との間, 咳喇とβ遮断薬併用との間には, 有意の関連はなかった. 咳喇症例の臨床検査について, 末梢血好酸球%, 肝機能(GOT, GPT), 腎機能(PSP 15分値, 24時間クレアチニンクリアランス), 呼吸機能(%努力肺活量, 1秒率, %V_<25>)には, 非咳喇群との間に有意差を認めなかった. (2)咳喇は, 抗コリン薬である臭化イプラトロピウムの吸入により完全に消失しないが, 抑制効果を認めた. このことから, 咳喇発生機序の一部として, 迷走神経末端からのACh放出, vagal reflex亢進などのcholinergic activationの関与が示唆された. (3)薬剤内服中止後, 平均15.6力月経過を観察したが, 慢性持続咳喇や喘息に移行した症例はなかった.
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