アトピー性皮膚炎における小麦アレルギーの関与を解析する目的で, 小麦 RAST・スコアー3〜4を示す患者血清と健常人血清の小麦精製タンパク質に対する反応を IgG-イムノブロット法にて解析した. 小麦抗原は尿素, 2ME を含むトリス・クエン酸緩衝液にて抽出, 精製後, SDS-PAGE により分画した. AD 患者血清は年齢に関係なく12〜100KDa にわたる多くの小麦成分と強く反応した. 特に分子量33〜38, 40〜45, 55〜60, 80, 90〜98KDa の5つの領域の分画を主要な抗原として認識し, さらに14, 16, 22, 29, 70KDa の分画とも反応した. 健常人血清は, 小児では40〜45, 55〜60KDa の分画と反応し, これらの分画を中心に反応は加齢とともに広がり, 成人血清では33〜38, 40〜45, 55〜60, 80, 90〜98KDa の5つの領域の分画を認識した. しかし健常人血清からは29KDa 以下の分画に対する抗体は検出されなかったことから, AD 症例のこの分画に対する IgG 抗体の反応特異性が示唆された.
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