全国17施設の内科, 小児科, 耳鼻咽喉科, 皮膚科より得た健常者171例, 各種アレルギー患者789例の血清を対象とし, FAST (fluorescence allergosorbent test)システムにより特異IgE抗体及び総IgEの測定を行った. またRAST, 皮膚テスト, 誘発テストとの比較及び臨床診断との比較検討を行った. RASTとの同時測定例において, 一致率85.7%, 相関係数0.848と良好な相関性を得た. 健常者検査例における特異性はRAST 95.5%に対し, FAST 93.1%であった. 問診, RAST/FAST, 皮膚・誘発テストからの総合的診断により病因アレルゲンを確定できた検査例における感度はRAST 82.3%に対し, FAST 85.3%であった. また皮膚テスト, 誘発テストの感度は, 各々92.4%, 94.7%であった. さらに臨床診断との一致率はRAST, FASTともに89.7%であった. 総IgEを健常成人について測定したところ, 累積95%値による正常上限250IU/m1を得た. 以上より, FASTシステムはIgE関連検査において臨床的有用性が高い検査法であると考えられた.
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