好塩基球からのヒスタミン遊離とその時の形態的変化が, 刺激物質により異なるかどうかを検討する目的で, アトピー型喘息患者の末梢血好塩基球を用いて, 抗原, 抗ヒトIgEおよびCa ionophore A23187刺激時の経時的変化を観察した. その結果, 1. 抗原刺激時には, Ca ionophore A23187刺激に比べ, より急速な好塩基球からのヒスタミン遊離が観察された. 2. 刺激物質による好塩基球数の減少傾向は, Ca ionophore A23187刺激に比べ抗原刺激時に有意に高度であった. 3. 好塩基球の運動亢進を示すと考えられる細胞の長径/短径比は, 抗原刺激時に, Ca ionophore A23187刺激に比べ有意の増大を示した. Ca ionophore A23187刺激時には, 長径/短径比には変化がみられなかった. 4. Ca ionophore A23187刺激では, 細胞の平均直径の著明な増大傾向がみられた. 抗ヒトIgE刺激時の変化は, 抗原刺激時と類似していたが, 抗原と比べその始まりはやや遅く, また, 持続時間は短い傾向がみられた. 以上の結果より, IgE受容体を介する刺激 (抗原, 抗ヒトIgE) による好塩基球からのヒスタミン遊離の際には, 運動亢進が必須であるが, IgE受容体を介さない刺激 (Ca ionophore A23187) では, 運動亢進をきたすことなく, ヒスタミンが遊離されることが明らかにされた.
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