気管支喘息重症発作のために, 1体のイソプロテレノール (プロタノールL^(R)) の持続吸入療法を受けた男児12名, 女児10名, 延べ32例について, その有効性と安全性について検討した. 無効1例と合併症 (無気肺, 気胸および気縦隔) を有した2例を除く19名, 延べ29例について以下の結果を得た. 臨床症状の把握には, WoodのスコアとSpO_2を用いた. 持続吸入療法開始前の発作の重症度によって3群に分類された. A群 (スコア0〜4点, 比較的早期) 9例, B群 (5〜6点, 前呼吸不全) 17例, C群 (8〜10点, 呼吸不全) 3例. 開始時SpO_2はそれぞれ94.8, 91.5, 82.0%であり, 重症ほど有意に低値を示した (p<0.05, 0.001). 持続吸入療法によって呼吸困難が消失するまでの時間はそれぞれ0.78, 6.3, 17.2時間であり, 重症ほど有意に長時間を要した (p<0.05, 0.01). 心拍数は各群とも呼吸困難が改善するにつれ低下した. 効果により著効群20例と効果不十分群9例に分かれた. 後者の方がスコアは有意に高く, SpO_2は有意に低値であり (p<0.01, 0.001), 低年齢者を多く含んでいた. 以上より, 本療法は呼吸不全にいたる前の段階で実施した方がより効果的である一方, 高スコア者, SpO_2低値, 低年齢児などに効果が不十分な場合があり, より注意深い管理が必要であると考えられた.
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