神経ペプチドとサイトカインは多様な作用をもつ生理活性物質である. 慢性関節リウマチ(RA)では関節炎部位の関節液と病的滑膜中の濃度測定を中心に研究がなされている. 本研究は, 末梢血中の各種神経ペプチドとサイトカイン値がRAの病勢を反映していると考え, 末梢血中のそれぞれの濃度を測定し, RA活動指数ならびに各物質間の相関関係を調べたものである. なお, 測定物質はRAと関係の深いと思われるSP, Leu-enk, Met-enk,β-endなどの神経ペプチドとIL-1, IL-6, TNF-α, CRF, ACTHなどのサイトカイン, そして, cortisolの計10種であった. 25例のRA患者を対象に, 全物質は一括して午前9時に採血し, 免疫測定法で測定した. なお, 10名の正常者を対照とした. 測定値はCRF, ACTH, cortisolは正常人と比べ低値で, SP, IL-6, TNF-αは高値であった. IL-6とTNF-αは活動指数とも相関しており, RAでの積極的関与が強く示唆された. 以上の結果より末梢血中の神経ペプチドとサイトカインを測定することは, RAの病態解明に有用であると思われた.
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