気管支喘息37例を対象に, 臨床症状による気管支喘息の分類を行い (臨床診断), 各臨床病型の特徴を臨床所見および検査成績により観察し,あわせて,これらの臨床所見や検査成績から算出されたスコアーによる分類 (スコアー診断) との比較検討を行った。なお, 臨床分類は, 既報のごとく, Ia, 単純性気管支攣縮型, Ib, 気管支攣縮+過分泌型, II, 細気管支閉塞型の3つの病型に分類したが, Ia型はさらに, その1日喀痰量により0〜49mlの症例をI_<a-1>型, 50〜99ml以上の症例をI_<a-2>型に分類した。また, スコアー分類は, 臨床分類における各病型の特徴が表されるような臨床所見および検査をスコアー化することにより行った。I_<a-2>およびIb型は, 喀痰量が多いことおよびBALF中好酸球増多が見られることがその臨床的特徴であった。II型では, %V_<25>値が極めて低いこと (10%以下), およびBALF中高度な好中球増多がその特徴として示された。臨床診断で, I_<a-1>型, Ib型およびII型と診断された症例は全て, スコアー診断でも同じ病型として診断された。臨床診断によるI_<a-2>型とIb型は, いずれも, 喀痰量が多いこと, そして, BALF中好酸球増多がみられるという類似した病態を有していると判断された。したがって, 臨床診断でI_<a-2>型と分類された症例は, いずれもスコアー診断ではIb型に分類された。
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