クロモグリク酸ナトリウム (disodium cromoglycate: DSCG) は気道から速やかに血中に吸収され, 尿中と胆汁中に排泄されることから, 尿中排泄量を測定することによって間接的に肺内沈着量を推定できる。そこで, 0〜16歳の小児78例を対象に, DSCGをマーカーとしてエアロゾル粒子の肺内沈着率を検討した。吸入はDSCG吸入液を用い, ジェットネブライザーにより, フェースマスクを用いて安静呼吸のもとで行った。尿中DSCG濃度の測定はHPLC法を用いた。4時間蓄尿中の平均DSCG排泄率は0歳0.204%, 1歳0.231%, 2歳0.593%, 3歳0.790%, 24時間尿中の排泄率は3歳0.625%, 4歳0.895%, 5〜6歳0.855%, 7〜9歳1.176%, 10〜16歳1.070%であった。肺内沈着率は0〜1歳0.5%, 2歳1.4%, 3歳1.4〜1.8%, 4〜6歳2.0%, 7〜9歳2.7%, 10〜16歳2.4%と推定された。以上の結果は, 吸入療法における薬剤の至適投与量を決めていく一つの指標になると考えられるが, 肺内沈着率は変動幅が大きいことを考慮しておく必要があった。
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