気管支喘息にて冶療中の72例を対象に, 骨変化を中手骨の multiple scanning X-ray photodensitometry (MD/MS)法により, 骨形成マーカーとして血中の osteocalcin, 血中アルカリフォスファターゼ (Al-P)総活性および骨型Al-P, 骨吸収のマーカ-としては尿中の pyridinoline, deoxy-pyridinolineを測定した. 中手骨のX線では, 加齢と共に骨粗鬆症の傾向がみられた. 加齢によリ osteocalcin, Al-Pなどの骨形成マーカーには変化がないが, 骨吸収マーカーが増加した. 経ロステロイド薬, 吸入ステロイド薬の何れによってもX線上の骨粗鬆症の傾向は認めなかったが, 経ロステロイド薬によリ, 骨形成マーカーが抑制された. 逆に, 吸入ステロイド薬による冶療では1日使用量が多いほど, あるいは投与期間が長い症例ほど骨吸収マーカーが低値を示した. 吸入ステロイド薬による喘息治療は, 骨代謝に不利な影響は少ないものと考えられた.
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