コナヒョウヒダニの排泄物抽出物を分画分子量10kDの限外濾過膜で分離した低分子画分(LM)は, ダニアレルギー患者に特異的な強い皮内反応とヒスタミン遊離活性を有していた. この低分子画分をUltrogel AcA 54によるゲル濾過とヒスタミン遊離試験で分画し, 2つのアレルゲン活性画分(LM1, LM2)を得た. 高分子量のLM1画分を, 更にイオン交換(DEAE)と逆相HPLC (ODS 120T)で分画して, 3つの精製アレルゲン(LM1a, LM1b, LM1c)を得た. この3つの成分の分子量は, いずれもゲル濾過では13kD, SDS-PAGEでは8kDであり, 等電点は4-5であった. この3つのアレルゲンは約20%の中性糖を含む糖タンパク質であり, いずれもウサギ抗Der f II抗体に反応したが抗Der f I抗体とは反応しなかったことから, 抗Der f IIと共通の抗原決定基を含むが, 抗Der f IIとは異なる低分子アレルゲンであることが示唆された. LM1cと抗Der f II抗体との反応はLM1aとLM1bによって完全に阻害されたが, LM1並びにLM1bと抗DげDer f IIとの反応はLM1cでは部分的にしか阻害されなかった.
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