我々は特発性間質性肺炎 (idiopathic interstitial pneumonia, IIP) の肺局所のT細胞の性格を明らかにする目的で, IIP 慢性型10例, 健常者9例について, 末梢血と気管支肺胞洗浄 (BAL) 液のT細胞におけるT細胞レセプターβ鎖可変領域 (Vβ) 遺伝子22種の発現を reverse transcriptase-polymerase chain reaction法を用い検討した. その結果, BALリンパ球において, 健常者ではVβの強い発現 (全体の15%以上)はなかったのに対し, IIP患者では10例中7例にVβの強い発現をみた. しかし, Vβの発現パターンは一定の傾向がなく, 個体により発現されるVβが異なる restricted heterogeneityを示した. (症例1 : Vβ14, 症例2 : Vβ3, Vβ5.1, 症例5 : Vβ2, 症例6 : Vβ6, 症例7 : Vβ8, 症例8 : Vβ7, Vβ20, 症例9 : Vβ6) IIPの肺局所においてT細胞が oligoclonalに増殖していることが示され, restricted heterogeneityの成績はIIPにおける病因の多様性を反映している可能性が考えられた.
抄録全体を表示