ラット好塩基球性白血病(RBL-2H3)細胞において, プロテインキナーゼC(PKC)アイソザイムの主なものとしてα, β1, β2, δ, εが, また少量のζがウエスタンブロティングで確認された. 抗原刺激ではPKCδ, ε, phorbolester (PMA)やカルシウムイオノホア(A23187)刺激ではPKCα,βのトランスロケーションが優位であった. 抗原刺激によるホスホリパーゼD (PLD)の活性化は弱く, PKCδ, εよりはPKCα,βがPLDの活性化に関与していると考えられる. 一方, A23187刺激では, PKCトランスロケーションは弱いが, PLDの活性化は非常に強いことより, PKCの他にCa^<2+>増加に伴う因子の関与が示唆された. 抗原刺激およびA23187刺激では, 同程度のセロトニン分泌とPKCα, εのトランスロケーションを認め, これらのPKCの分泌への関与が示唆された. PMA刺激では, PKCζ以外の他のすべてのアイソザイムのトランスロケーションが強いが, 分泌は起こらなかった. 以上の結果よリPLDの活性化にはPKCα, β, 分泌にはPKCα, εが関与するが, 分泌には細胞内Ca^<2+>濃度の上昇も必要であると考えられる.
抄録全体を表示