小児喘息の既往を有する大学生26名に対して, アンケート調査を施行した. 小児喘息既往者を寛解群, 再燃群, 遷延群の3群に分けると, 寛解群15名, 再燃群7名, 遷延群4名であった. 再燃群と遷延群の発作の誘因としては, 風邪, 飲酒, 気温・気圧の変化, ストレス・疲労が挙げられた. 同時に換気機能を測定し, コントロール群7名と比較した. 比較的末梢気道の状態を示す%V_<25>/HTに関して, コントロール群と比較して, 寛解群・再燃群・遷延群ともに有意に低値を示した. 部分的最大呼気流量のM/P比も測定し, 寛解群では低下を認めなかった. すなわち寛解群では, 深吸気刺激後の気管支収縮を認めなかった. 以上の結果より, 小児喘息の既往は成人期の換気機能に影響を及ぼすが, 寛解群では気道の炎症性浮腫は生じておらず, 末梢気道におけるリモデリングが換気機能の低下の原因と考えられた.
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