急性発作にて来院した患者のSpO_2 (パルスオキシメーターでの酸素飽和度) とPEF (peak expiratory flow) の関係について検討した。対象は, 急性発作で来院した気管支喘息児52例 (男25例, 女27例, 年齢6〜17歳) で, 気管支拡張剤吸入前, または後にPEF, SpO_2が測定できていた延べ急性発作126回を解析対象とした。全年齢層の吸入前の%PEFとSpO_2との間には有意な正の相関を認めたが (n=76, R=0.472, p<0.001), PEFの低下とSpO_2の低下がWHOのガイドライン (Global Initiative for Asthma: GINA) のそれと一致しておらず, PEFの低下の割にSpO_2は比較的保たれていた。年齢層別では6〜9歳, 10〜12歳の年齢層で両者の間に有意な相関を認めたが, 13歳以上の高年齢層 (15.9±0.9歳) では相関を認めなかった。同様に, 非発作時の肺機能上, 閉塞性変化のある症例では, 両者の間に相関を認めなかった。一方, 外来受診後に入院した群と入院を必要としなかった群の外来での気管支拡張剤吸入前の%PEF, SpO_2, 心拍数, 呼吸数は, 32.3% vs 50.0%, 93.0% vs 95.0%, 115bpm vs 100bpm, 27/min vs 25/minで, いずれも有意差を認め, 吸入後も同様であった。小児の喘息発作においてSpO_2から重症度を評価することは有用であるが, %PEFが60%以下であってもSpO_2は91%以上保たれている場合が多いことを認識する必要がある。また, 高年齢児で非発作時の閉塞性変化が強い程, SpO_2とPEFが解離する症例が多いことから, SpO_2だけでなく実際の気道狭窄の程度を表すPEFと共に重症度を評価する必要があると考えられた。
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