目的:成人気管支喘息での食物アレルゲン及び食物アレルギーの実態について調査すること.対象:成人気管支喘息患者3102例を対象に皮膚反応をこのうち61例を対象に負荷試験を行った.方法:食物アレルゲン33種類を用いスクラッチ法で皮膚反応を行った.エビ, カニ, パンなど12種類の食物についてopen法で負荷試験を行った.成績:皮膚反応の陽性率の高かったのは全体では順にエビ, カニ, イースト菌で, 卵白, 牛乳, 大豆は他に比べ頻度は高くなかった.年齢別にみた陽性頻度は各年代ともダニの陽性頻度の半分以下ではあったが, 若年者で高く, 年齢を経るにつれ減少する傾向はダニと似ていた.卵白, 牛乳は20歳未満が最も高く, 以後減少する傾向があり, エビも同様であった.しかし, カニは20代がピークで, 次いで30代であった.スクラッチ・テストおよびRAST陽性者での負荷試験陽性率は63品目中31品目とわずか50%であり, 食物アレルギーの診断には負荷試験が不可欠だと思われた.アレルゲンとしてはソバ, エビ, カニ, パンが多くみられた.結語:成人気管支喘息患者における食物アレルゲンの陽性頻度は卵白, 牛乳, 大豆が多くみられる小児とは異なり, エビ, カニ, ソバが多くみられた.食物アレルギーの診断は病歴, 皮膚反応およびRASTの成績をもとに負荷試験によってなされるべきであると思われた.
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