目的:日本で春に多数の患者を認め,鼻汁,鼻閉,流涙,時に咽頭痛等の症状を示すI型アレルギーのスギ花粉症で,呼気中NOの濃度が増加しているかを明らかにすることと,呼気中NO濃度が類似の症状を呈する風邪症候群との鑑別になるかを明らかにすることを目的に以下の検討を行った.対象と方法:健常例20例,スギ花粉症20例,風邪症候群20例の3群を対象に島津製作所製NOx測定計CLM700を用い,鼻腔由来の呼気中NO濃度と気道,肺由来の呼気中NO濃度を測定した.鼻腔由来の呼気中NO濃度,気道,肺由来の呼気中NO濃度における茖群の比較検討をした.結果:健常群に比べ,スギ花粉症の鼻腔由来の呼気中NO濃度と気道,肺由来の呼気中NO濃度は共に著増していた.風邪症候群では有意の増加を認めなかった.考察:呼気中NO濃度は,風邪症候群とスギ花粉逍の鑑別に有用であると考えられた.スギ花粉症で鼻腔由来の呼気中NO濃度のみならず,気道,肺由来の呼気中NO濃度も増加していたことは興味深いと思われ,スギ花粉症は,鼻気道のみならず喘息症状を伴わないが下気道にも炎症があるとされる"generalized airway inflammation"を呈しているのかもしれない.
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