乳幼児のアトピー性疾患と家族のアトピー性疾患既往歴の有無との関係を中心に,全国の1,2歳児の母親を対象として実施した疫学調査データを用いて,多重ロジスティック回帰分析(MLA)及びニューラルネットワーク分析(NNA)よるアトピー性皮膚炎(AD)発症予知の検討を行った.解析対象は,疫学調査の有効回答数である4610人とした.父親,母親,同胞,父方祖父母,母方祖父母の既往歴の有無,生後3カ月までの栄養法,児の食事制限,児の食物アレルギーの有無,児の年齢,児の出生順位,離乳食摂取開始時期,卵摂取開始時期,牛乳摂取開始時期,母親の食事制限の有無,母親の年齢,母親の職業の有無,性別,居住地域の18の項目を用い,MLA及びNNAを行った.MLAでは,感度75.1%,特異度82.6%,全体の過誤率は17.7%,NNAでは,感度88.6%,特異度99.5%,全体の過誤率は3.6%であった.今後さらに精度と信頼性を高めるため,臨床検査値など種々のデータを加味して,より詳細な検討が必要である.
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