気管支喘息を含むアレルギー性炎症の病態形成に好酸球が重要視されている.新しい抗喘息薬の一つであるnedocromil sodium (nedocromil)は炎症局所への好酸球浸潤を抑制することが報告されているが,その機序の詳細は不明である.そこで今回我々は好酸球浸潤に影響を与えるPAF刺激好酸球Mac-1の発現およびIL-1β,IL-4刺激血管内皮細胞上の各種接着分子発現,また,PAF誘導好酸球遊走能に対する影響を検討した. nedocromilはPAF刺激による好酸球上のMac-1の発現を10^<-5>,10^<-7>Mにおいて有意に抑制し,HUVEC上の接着分子発現とりわけ,IL-1β刺激によるICAM-1,E-selectinの発現は,10^<-5>,10^<-7>Mにおいて,有意に抑制したが,VCAM-1については明らかな抑制は認めなかった.また,IL-4刺激によるVCAM-1発現は抑制傾向は認めたが統計学的には有意ではなかった. しかし,E-selectinについては,resting状態においても,有意に発現を低下させた.また,PAF誘導好酸球遊走能は,10^<-3>,10^<-5>,10^<-7>Mいずれにおいても濃度依存性に有意に抑制した. 以上のことから,nedocromilは好酸球上のMac-1発現,血管内皮細胞上のE-selectin,ICAM-1発現,好酸球遊走活性を抑制することで炎症局所への好酸球浸潤を抑制している可能性が示唆された.
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