1969年から30年間の気管支喘息(喘息)とアレルギー性鼻炎(鼻炎)患者のアレルゲン皮内テスト陽性率の推移を解析した. アレルゲンの種類は室内塵, 花粉(スギ, マツ, コナラ, ハンノキ, ケヤキ, カモガヤ, ブタクサ, ヨモギ, カナムグラ)および真菌(アルテルナリア, クラドスポリウム, アスペルギルス, ペニシリウム, カンジダ)である. 総じて, 陽性率は室内塵で喘息が鼻炎より高く, 花粉で鼻炎が高いが, 真菌ではアルテルナリアが喘息と鼻炎でほぼ同率以外全て喘息に高かった. すなわち, 感作アレルゲンの種類によりアレルギーの臨床表現が異なろう. 経年的には, 両疾患共に全てのアレルゲンに陽性率の上昇をみたが, これは必ずしも空中飛散アレルゲンの多寡を反映していない. この両極瑞は普遍的なスギとマツ花粉にみられた. 前者の上昇は飛散花粉数の増加と関連しているとみられたが, 後者は低率のまま経過して, 花粉数がほとんど不変にもかかわらず, 最近10年間に急上昇をみた. すなわち, アレルゲンによる感作の増大にはアレルゲン暴露量以外に何らかの要因も関与しよう.
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