今回我々はspecific pathogen free環境下において, NC/Ngaマウスの皮膚を3種類の試薬(sodium-dodecylsalfate, エタノール, アセトン・エーテル混合液)にて処理した後, アトピー性皮膚炎の発症・憎悪に重要なアレルゲンであるヒトヒョウヒダニ抗原を塗布して, NC/Ngaマウスのアトピー性皮膚炎様皮疹誘導に関するバリア機能低下の影響について検討した.その結果, バリア機能低下処理のみを行ったすべての群では, 明らかな皮膚炎は発症せず, 血漿IgE値も上昇しなかった.一方, バリア機能の低下処理後にダニ抗原を塗布した群では, 臨床的かつ組織学的に明らかな皮膚炎を発症し, 血漿IgE値も上昇した.また試薬の種類, 濃度により皮膚炎の程度には差を認めた.以上の結果よりNC/Ngaマウスは, バリア機能低下処理後の抗原塗布に対して過敏に反応し, 高IgE血症を伴った皮膚炎を発症させることができることが明らかになり, 抗原によるアトピー性皮膚炎様皮疹の発症におけるバリア機能の重要性が示唆された.
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