急性蕁麻疹(AU)84例, アトピー性皮膚炎(AD)100例を対象とし, アニサキス特異IgE抗体(AsIgE)を測定, これに対する性, 年齢, 疾患, 総IgEの影響を解析した.単変量解析では, 年齢とAsIgEに有意の正の相関, 総IgEとAsIgEに有意の正の相関, 疾患により総IgEに有意の差(ADの方が高値), 疾患により年齢に有意の差(AUの方が高値)が認められた.AsIgEが正値の症例は, AUが26例(31%), ADが25例(25%)で有意差はなかった.これらの症例では, 疾患によりAsIgEに有意の差(AUの方が高値)が認められた.AsIgEがクラス3以上の症例は, AUが20例(24%), ADが3例(3%)で, 有意にAUの方がAsIgEが高い例が多かった.多変量解析(判別分析, ロジスティック回帰分析)の結果, AsIgEに対する影響は疾患(相対危険率16.87), 年齢(相対危険率1.05)の順であり, 総IgEと性はほとんど影響しないと考えられた.AU疾患でAsIgEがクラス3以上の場合, AsIgEとAUを結びつけて考えてもよいかもしれない.それはアニサキスを摂取することで蕁麻疹が出現した, という直接の因果関係ではなく, アニサキスと類似した抗原摂取による発症である可能性もあると思われる.
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