症例は71歳女性.乾性咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当院受診.血液検査では,炎症所見とLDHの上昇がみられたが,抗核抗体,Jo-1抗体は陰性.胸部CTでは,胸膜直下域を主体とする非区域性の肺野濃度上昇と線状網状陰影がみられ,Gaシンチでは両肺に高度の取り込みがみられた.TBLBでは,胞隔の肥厚とリンパ球浸潤,腫大したII型肺胞上皮がみられた.以上より,特発性間質性肺炎と診断 (CT上,NSIPの可能性が高い).プレドニゾロン (PSL) とシクロスポリンA (CsA)の併用療法を試みた.1カ月後,症状,検査所見ともに改善.PSLは漸減していった.しかし,経過中に気道感染を契機として間質性肺炎が増悪.CsAの継続で,高度の急性増悪は回避できた.現在は,CsAの投与のみで,臨床所見,検査所見ともにさらなる改善がみられている.CsAは,原因不明の間質性肺炎にも有効である可能性が示唆された.
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