我々は成人気管支喘息患者の喘息症状や睡眠障害の好発時間帯を把握する目的で,千葉県下17医療施設で共同調査を実施した.各施設の外来通院中の成人気管支喘息患者に対し,アンケート用紙にて喘息症状の種類,症状好発時間帯,発生頻度等を調査し,得られた513例について解析,検討を行った.その結果,症状は「ゼーゼーヒューヒュー」が54.6%で最も頻度が高く,次いで「胸苦しい」32.2%,「明らかな喘息発作」13.8%,「咳」8.7%,「息苦しい」6.8%であった.喘息症状の好発時間帯は,夜間から早朝に集中し,午前4時にピークを示した.また,喘息症状の好発時間帯は,重症度や病態別でも同様の推移を示した.治療前と現治療における夜間症状の発生頻度は,週7回以上が44.9%から16.1%,週3回以上が76.8%から40.4%,週1回以上が94.4%から71.5%と減少し,治療前はより高い発生頻度で夜間症状を示していた.以上の結果より,成人気管支喘息患者は夜間から早朝にかけて高い頻度で喘息症状を自覚していることが確認され,気管支喘息の予防,管理において好発時間帯を考慮した治療戦略を立てる事の重要性が示唆された.
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