文部科学省統計数理研究所石黒,真木夫1990年1月から1991年12月までに横浜市夜間急病センターを受診した日々の喘息発作患者数と環境諸因子(NO,NO_2,SO_2,SPM,気温及び相対湿度)の日平均値との関係を検討した.喘息発作受診数及び環境諸因子は解析のため,曜日の影響および不規則な日々の変動を除去したトレンドをAkaikeand lshiguroの方法を用いて推定した.原時系列から推定したトレンドから,環境諸因子の増加率を推定し,さらに気温と相対湿度の各々について上昇期・下降期に区分した.原時系列とトレンドでは,喘息発作受診に対して汚染物質は負の相関を,気温と相対湿度は正の相関を示したが,増加率では,逆の相関を示した.さらに,気温と相対湿度が共に低下する場合は,増加率では大気汚染物質との間に有意な正の相関が認められ,相関係数の大きさは,NO_2>NO>SO_2>SPMの順であった.喘息発作には環境諸因子が複雑に絡みあっており,その諸因子の絡みを調べる方法として本報告で使用した解析手法は役立つと考えられる.
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