気管支喘息は好酸球が関与する炎症性疾患であり,好酸球から産生される好酸球顆粒蛋白,eosimophil cationic protein(ECP)などにより気道過敏性が亢進するといわれている.今回,我々は1日1回内服型徐放性テオフィリン製剤ユニフィル錠(R)(UP,大塚製薬)の低用量投与による抗炎症作用,気道過敏性および呼吸機能に対する影響について検討した.当院呼吸器内科外来を通院中の軽症あるいは中等症の吸入ステロイド剤未使用の気管支喘息患者30名を対象に,UPを200mg/dayにて4週間投与し,治療前後における呼吸機能(FEV_<1.0>,PEF,V_<25>,V_<50>),気道過敏性検査(気道過敏性閾値:Dmin),末梢血中好酸球数および末梢血中ECP値を比較検討した.その結果,UP投与後に末梢血中好酸球数(投与前647.00±280.10/mm^3,投与後444.17±258.63/mm^3),末梢血中ECP値(投与前相乗平均1318ng/ml(95%信頼区間(CI)758〜2291),投与後相乗平均741ng/ml(95%CI438〜1256)はいずれも有意に減少し(p<0.01),気道過敏性は有意に改善した(投与前相乗平均1.15units(95%CI0.384〜3.41),投与後相乗平均6.70units(95%CI2.23〜20.1),ρ<0.01).また,FEV_<1.0>値(投与前2.39±0.64L,投与後2.69±0.73L:ρ<0.01),PEF値(投与前6.21±2.75L/sec,投与後7.14±2.54L/sec:ρ<0.01),V_<25>値およびV_<50>値(ρ<0.05)も有意に改善した.なお,この時の血中テオフィリン濃度は平均3.95μg/mlであった.以上の結果より,UPは低用量投与にて,軽症および中等症気管支喘息患者において抗炎症作用および気道過敏性抑制作用を有することが示唆された.
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